痴呆を防ぐ

古来、中国では長寿薬、媚薬を求めて草根木皮ばかりか、日本人にはこんなのもが食べられるのか?というげてものなどでを食材にし、漢方薬の原料にしてきた。
不老不死を願って、秦の始皇帝が夢の霊薬を探させに、臣下の徐福を日本にまで遣わしたという伝説も残っているぐらいで、各地に使者を送った話は有名である。

「にんにくに限らず古代中国における長寿薬、媚薬の流行は、私の独断を許していただけるならば、これは人間の生命の根本的な問題であって、その上で長寿薬と媚薬は一にしていることに留意したい。

およそ人間の希望の中に本能の一部が欠けることは、生活に対する望みの大きな打撃であるのはいうまでもない。性の本能の衰えはとりもなおさず体力の弱化を物語るものである。性の力を体力のバロメーターとして考えることは必ずしも無理ではない。体力の維持は長寿を指示するものであり、媚薬と長寿薬は掌の表裏に位するものと考えることができるのである。

長寿、健康のもとと信じられてきながら、その科学的な究明がされてこなかったニンニクの神秘に科学的な光を当てたいという思いもあった。高齢化社会を迎えて、ある程度の長寿は手に入れたとしても、病気がちであっては意味がないし、ましてや寝たきりでは周りに迷惑をかけるばかりである。

その意味では長寿とともに、健康で生涯現役の生活を送れることが絶対条件というわけである。しかし、本人にとっても周りにとっても、一番厄介なのは老人型痴呆の場合で。
老人型痴呆は大きく脳血管性疾患とアルツハイマー病とに分けられる。脳血管性疾患は脳梗塞などが減で脳の血管が詰まったり、血流量が減って脳の神経細胞が急減したり、変性を起こした結果のボケであり、日本では老人型痴呆症の大部分を占めていた。

原因はわかりやすい。これに対して、近年増加傾向にあるアルツハイマー病の原因は、体内に蓄積されたアルミニウムなどの毒性物質、グルコース代謝障害、免疫異常など、様々な原因が取り沙汰されている。

いまのところ、これといった特効薬のないアルツハイマー病は、1907年にドイツの神経病理学者のA・アルツハイマー博士によって初めて報告されたものだ。アルツハイマー病になると、脳神経細胞が健康時と比べものにならないスピードで破壊されてしまう。脳全体が小さくなり、やがて死に至る。

神経伝達物質の異常、脳内にタンパク質のアミロイドが付着することなどが関連しているとされ、アルツハイマー病にかかると脳が萎縮し、記憶にかかわる伝達物質・アセチルコリンの量が減少したり、機能低下を起こしていることがわかっている。そこでアセチルコリンを分解してしまうアセチルコリンエステラーゼという酵素の働きを抑えたり、アセチルコリンを補えば神経細胞の減少や機能低下を抑えられるのではないかと考えられている。

その後、「ニンニクは老化が引き起こす脳の萎縮を抑え、学習能力を高める」という内容の発表が注目を集めた。普通のマウスより、老化現象が早く進む老化促進マウスを使って、熟成ニンニク抽出液が老化を防止することを明らかにした。

実験では普通のエサを食べたマウスは生後10ヶ月で16例中9例が死亡したが、熟成ニンニク抽出液をエサに2% 混ぜたものは、全例が生きていたというものだ。

また、彼らは電気ショックを与える床を使って、マウスが「どれだけショックを避けることを学習するか」を調べたところ、普通のエサで育てたマウスは、完全に電気ショックを避けることができるようになるまでに、一週間かかった。一方、熟成ニンニク抽出液入りのエサを食べたマウスは、約二日で電気ショックを避けられるようになつた。その結果、老化による学習能力の衰えを防ぐ効果がニンニクにあることが確認されたのだ。

また、脳の前部に萎縮が起こる特殊なマウス(脳萎縮マウス) を使った実験では、脳萎縮マウスに熟成ニンニク抽出液入りのエサを10ヶ月間与えたところ、脳の前部の長さと総重量が、ほぼ正常のマウスに近づくなど、ニンニクがマウスの記憶学習能力を向上させたり、脳の萎縮を抑制することが明らかになった。

さらに、「これはニンニクの成分が脳の細胞の生存率を高め、神経突起の分岐数を増やす作用があるためではないか」との想定のもとに、熟成ニンニク抽出液が神経細胞に直接作用を及ぼすかどうかを実験した。情報は、この神経突起を.介して伝達されるので、分岐数が多ければ多いほど脳は活性化する。

実験の結果、培養したラットの脳の神経細胞に熟成ニンニク抽出液を加え、48時間後の細胞の数や神経細胞の突起の数を測定してみると、ニンニクを加えたほうが生存率で1.5倍に伸び、神経の突起の分岐数は2倍に増えていた。

こうした効果をもたらすニンニクの有効成分は、分析の結果、S-アリルシステインをはじめとするイオウ化合物であることがわかっている。

同様の実験結果は、湧永製薬などからも報告されている。アホエンの研究を続けているグループでは、アホエンが神経細胞から出される信号(情報)を伝達する化学物質・アセチルコリンを分解する酵素・アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を持ち、アセチルコリンの分解を防ぐことを確認。
アホエンの酵素・アセチルコリンエステラーゼ阻害作用に関する特許を出願している。さらに、別の研究上でもスコルヂニンを使った実験を行い、同様の結果を得ている。

丸いプールの真ん中にプラットホームを置いて、スコルヂニンを投与したマウスと、投与していないマウスの到達時間と学習能力を調べたところ、スコルヂニンを投与しているグループは、投与していないグループの半分のの時間で到達した。これは老化促進マウスだけではなく、若いマウスを使った実験でも同じ結果が出ている。

この結果が人間に当てはまるならば、マウスが賢くなることは、人間の場合も頭がよくなるのではないか?
と、ニンニクの持つ可能性を指摘、さらなる研究を続けている。

現代的に解決しようとすると、痴呆症にイチョウ葉エキスなどのサプリを使いたくなってしまうが、こうした実験によって明らかになっているニンニクの効果を利用するほうがいいだろう。

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